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| 認知症状態に陥った高齢者をめぐる遺産相続の問題で、相続権のある人たちの間で時々争いが起きます。 私たちの病院で、これまでに起こった事例をいくつか挙げてみましょう。 1.Aさん、男性、82歳 妻が離婚を認めなかったので、Aさんは家を出て愛する女性Bさんと同棲しました。それから40年が経ち、Aさんに認知症が出現し始めました。同棲していたBさんは一生懸命介護を続けましたが、やがて対応に困るようになり、私たちの病院へ相談に来られました。診察の結果は認知症中期の状態でした。まだ改善が見込まれる時期なので、Aさんには入院していただきました。 経過は良く、症状は落ち着いてきました。Bさんもよく協力して下さいました。ある日、妻と称する女性が2人の息子を連れて病院に来ました。「私が戸籍上の正妻です。この2人は息子です。実は夫が入院しと噂で聞きましたので、引き取りに来ました。私と子供がAの面倒を見ようと思います。私が夫を引き取るのに何の問題もないと思います」とのことでした。 Aさんの入院の保護者はBさんでしたので、「両者でよく話し合って決めて下さい」と申し上げました。数日後、妻と子供さん達が来られ、Aさんを強引に退院させていかれたとのことでした。 その後Bさんが病院に来られ、入院中の諸費用を支払って帰りました。その時「相手方から連絡はありません。Aにも遺言書などを作ってもらっていません。好きだった人とこれまで一緒に人生を送ってこられたことだけでも幸せだったと思っています」とにこやかに話されました。 2.Cさん、男性、81歳 ある日、子供の一人が見舞いに来て、自分で書いた遺言書を持って来てCさんに署名・捺印させ、後日、遺言通りの自分の権利を主張しました。遺言書作成の日付が、当日よりさかのぼって記載されていましたが、その日付でも認知症が進行していて、遺言書作成能力がなかったことを証明させていただきました。 3.Dさん、女性、79歳 入院中の母親と子供が、Dさんを自宅に数日間外泊させました。そのとき遺言書を作成したようです。子供は4人いますが、遺言書を作成させた子供の相続が断然有利な配分になっていました。しかし、他の子供たちはそのような配分に大した異議を唱えなかったようでした。 「あいつ事業で失敗したから、金が必要なんだろう」と皆さん平然とされていました 。 |
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