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| 今度のメールでも状況がはっきりしませんし、生活史・家族歴などもわかりません。また、ご本人にも会わせていただいてから、などと言ってもおられないご様子なので、随分と大胆なことなのですが、似たような症例の経験を踏まえて、以下のようにお返事しました。 | |
| 【お父上には、1.今住んでいる家、2.まったく同じ家(故郷にある)の2軒の家があります。そして、「故郷の家に帰りたい」とのことです。 ここで考えなければいけないことは、私たちは自分にとって優しい人たちのいるところ、居心地の良いところ、都合のよいところへ常に行きたがることです。当然様々な条件・制約などがありますので、我慢しています。そして我慢することが当たり前になって、最初から諦めてしまって、そのようなことを考えなくもなっています。しかし、経済的・時間的余裕があれば実行に移そうとします。このような条件がなくても、認知症に陥った場合の老人は、自分の感情のままに行動しようとします。行動に移す前に希望として他の人に話します。お父上はこの状況にあるようです。 つまり、故郷の家よりも今住んでいる家の方が居心地が悪い、ご自分にとって優しい人たちがいないと感じていらっしゃるのでしょう。お父上が期待していらっしゃる優しさと、ご家族がなさっている優しさに食い違いがありそうです。 同様のことがお母様についても言えるようです。 1.今一緒にいる妻、2.故郷にいる妻 そして、故郷にいる妻のところへ行きたい素振りを見せることは、現在の妻にいくらか不満があるということです。お父上は結婚する前や、結婚した頃のような妻に郷愁を感じていらっしゃるでしょう。きっとお母様がご主人をさらにボケさせないように、心配し、励ますために「これこれにしましょう」「ああしましょう」「頑張って下さい」「もう一度してみましょう」などと叱咤激励、忠告、注意、指図などをされているのでしょう。 このような妻の意図に沿うことができないため、お父上は困惑の毎日を送っていらっしゃると思われます。お父上はご自分の認知症症状を進行させないように、無意識のうちに居心地のよい家、心安らぐ妻を求めていらっしゃるのだと思います。混乱したり困惑した生活は、認知症状態をさらに進行させてしまうからです。 ただし、「お母様がいけない」とということではありません。「妻も同じ人間が2人いる」とお父上が言っています。この言葉は、まだ妻を認めていらっしゃるということです。妻への不満が大きい場合は妻を否定してしまいます。「ここにいるのは妻ではない。お手伝いさんだ。妻は故郷にいる。だから自分は故郷に帰る」ということになります。 そして、さらに不満が強い場合は、「ここに知らない人がいる。家には入れてはいけない」と言って、追い出そうとするからです。まだまだお父上には有効な方法があるということになります。 では「具体的にどのように」ということになります。これは単行本1冊分くらいの量になるので、お返事としては書ききれません。よろしかったら私たちの病院へ、お父上をお連れしてご相談にいらして下さればと思います。】 |
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