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| それから3年が過ぎました。この間、Nさんの認知症状態はその進行をストップし、改善の跡も見られています。しかし「寄る年波」には抗しきれないようです。これから再び、ゆっくりとですが、進行が始まりそうな予感がします。Nさんは寝たきりの状態のSさんをご自分の娘と勘違いしています。「何も仕事をしないで・・・。しょうがない人なんだから。寝てばかりいないで、少しは仕事をしなさい」と文句を言います。Sさんもご自分の母親か姉から注意を受けているかのように感じているようです。ご次男については遠いところで、一生懸命に働いていると思っておられるようです。 ところでNさんは時々は玄関へ出て来られて、「あの子(ご次男のこと)はどこへ行ったのでしょう」とか、「あの子はまだ来ていませんか」などと病院スタッフに聞きます。Nさんは、あした、あさって、しあさって、などは、はっきり理解できません。スタッフは「あした来られますよ」と対応します。すると安心されて病棟へ戻って行かれます。ご次男が「来る」ということを確認するだけで安心されます。ご次男が来てくれるということが、Nさんの今日から明日へと生き続けるための理由のようです。翌日も同様な行為が繰り返されます。 そしてご次男が来られる日になります。Nさんの表情に安心と満足、生きていることへの喜び、母親としての幸せなどが、ゴチャゴチャと混じり合ってしまう日が来たのです。ご次男が帰られた後もNさんは上機嫌です。安心感と満足感がその後2、3日間はNさんの心を満たします。したがって1ヶ月に6日間くらいがNさんの本当に幸福な日々なのです。Nさんのような方々のためには、1ヶ月が30日間くらいではなく、「10日間くらいであればよいのに」と私たちはいつも思っております。 Nさんのような方々に対応するために、私たちは、 【ご両親に安心と満足の日々を!】 をモットーにしています。 お年寄りの安心と満足は、お子さんたちに感謝され、ご家族全ての方々に尊敬される日々の中にある、と考えているからです。 それらを満足させるような生活の中では、親御さんはなかなか認知症に陥らないものです。そうした満足感の中では、健康寿命が長くなり、かつ万一認知症に陥っても進行を遅らせることができ、さらに改善するチャンスも十分に生れるということができるでしょう。 |
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