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 今回は、72歳になる男性・Mさんのケースを考えてみましょう。
 Mさんは急性硬膜下血腫で手術を受けました。退院後、根気と関心がなくなり、ご自分が経営している会社を引退しました。
 その後の毎日の生活は、1万歩くらい歩くこと、お酒を3〜4合飲むことなどが主な日課となりました。
 それから2年後には、物忘れと自分勝手な要求が多くなりました。
 さらに4年後には、「誰かがいる」「犬がいる(飼ってはいない)」などの訴えが多いため、メンタルクリニックを受診。アルツハイマー型認知症とアルコール幻覚症の診断を受けました。

 その他、ご家族のお話によれば、
・外出すると帰宅できない。妻が心配して一緒に外出すると興奮し、怒って「帰れ!ぶん殴るぞ!」などと言う。
・階段から転倒する。
・トイレに入り鍵をしめ、開けられなくなる。
・自分の思い通りにならないとイライラし、歩き回り、興奮する。
・昼夜が逆になり、夜起きて行動する。夜中に外出する。
・コンビニエンスストアで店内をうろうろし、店員に不審がられる。
・娘の顔や名前がわからない。
・同じことを何度も聞く。聞いたことはすぐ忘れる。
・ただ歩いてばかりいる。

 などの様々な症状がありました。
 この段階で当病院を受診され、重度認知症症ということで入院されました。

 Mさんは若い頃から仕事だけといった生活の人でした。遊び、楽しむこと、旅行などはほとんどしたことはありません。
「無駄だ!つまらない!」
「そんなことして何になる!」
が口癖でした。

 Mさんの言うことを聞かないと怒鳴りつけ、Mさんが黒いものを白と言ったら、家族全員が白と言わなければなりませんでした。冗談、無駄口など一切言わず、特に妻は全てにおいて、ただ「ハイ、ハイ」と言っていなければならない程でした。もともとわがまま勝手で、人の言うことには耳を貸さない性格のようでした。
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