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| 今回はSさん(女性、85歳)の症例について考えてみましょう。 Sさんは栃木県出身、祖父の代までは大地主で、その地方では有名な旧家でした。父親には放蕩・道楽癖がありましたが、Sさんの子供の頃はそれでもまだ経済的に困ることはありませんでした。Sさんは4人姉妹の第4子でした。女学校を卒業後、帰郷しましたが、結婚のため再度上京しました。夫は大学卒のサラリーマンでした。子供は6人(男・男・女・男・男・女)生まれました。 Sさんが40歳の時、夫は心臓の病気で亡くなりました。その後の生活は、Sさんの実家からの援助もあったので、学費の支払などで子供たちを困らせることはほとんどありませんでした。Sさんにとって実家からの援助は、子供たちへの自慢の種でした。時には「私の姉たちに内緒で援助してくれているのだから、あなたたちも感謝しなさい」と言うこともありました。 Sさんの実家の母は20年前に亡くなりました。子供たちもそれぞれ家を離れて独立していましたが、一人暮らしをしていたSさんが70歳の時、次男さん一家が移り住み、Sさんと一緒の生活を始めました。Sさんはとても喜んでいました。そんなSさんも5〜6年前から忘れ物が目立つようになりました。目的地とは関係のない電車に乗り、行き先も帰路も分からなくなったことがありました。会話はときどきつじつまが合わなくなりました。自分の思い通りにならないとイライラし、家族がSさんに反対するとすぐ怒るようになりました。特に次男さんには、世話になっているにもかかわらず、すぐ怒り出し、興奮するようになりました。 心配した他の子供たちが、Sさんを代わるがわる自分の家へ連れて行き、泊めようとすると「家へ帰る。家へ帰る」と言って落ち着かず、大騒ぎになる。大切なものを(預金通帳、印鑑など)をバッグに入れて肌身離さず持ち歩く。入浴を嫌がり、注意すると興奮して怒りだす。そんな生活を続けるようになりました。 そしてご家族は、 1.今の認知症状態を診断してほしい 2.今後どうなるのか知りたい 3.家族の接し方を知りたい とのことで来院されました。 |
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