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Aさんは七十八歳の女性です。東京在住でご家族によれば次のような症状があるとのことです。
一、忘れっぽくなっている。
二、日中はほとんど家にいない。
三、会う人ごとに嫁の悪口を言う。「ご飯を食べさせてくれない」「腐ったものを食べさせられる」「嫁に殺されるかもしれない」「嫁にお金を盗られた」など。
四、長男がそんなことはないと説明すると興奮して大騒ぎになる。
五、部屋のカーテンを閉め切って余り掃除をしない。
ご家族は「認知症に陥っているのか。もし認知症ならどう対応したらよいか。改善の可能性はあるのか」
と質問されました。
外来診察室でのAさんは、特に問題になるような素振りを見せませんでした。
「お嫁さんにお金を盗られましたか。」
「そんなことはありません。家の嫁は本当に優しくてよい人なので、私も大助かりです。」
Aさん中心に話を続ける限り、認知症に陥っていると考えるのは困難です。しかしいくつか問題点が浮かびました。
一、長男の嫁の話をしたがらない。
二、毎日の生活の中で目標・計画・予定・夢などがない。
三、目標・計画などを新たに創り出そうとしない。意欲がない。現状を改善しようとしない。
四、わずかに残っている将来への期待が実現するように努力が払われていない。
五、子供たちを褒められた時の嬉しそうな様子に、どことなく自信が無さそうに見える。
六、今日の年月日の認識が不確かである。
七、同じ話題に戻ると、もう一度先刻と同じ話を繰り返す。
などが観察されたことです。
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