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新年おめでとうございます。
さて本年最初の症例検討は、拙著『ボケのち願わくば晴れ』でもご紹介したことのある少し古いケースですが、同書で書き残したことを補足したいと思い、繰り返しになりますがあえて取り上げましたことを、ご了承ください。 Wさんは入院当初、75歳になる女性でした。その一年ほど前から寝たり起きたりの状態となりました。昼間娘さんが来て世話をし、夜は帰ります。最近はポータブル・トイレの使用もできなくなり、夜間の介護も必要となりました。身体も衰弱してきたので病院に来ました。 血圧は最高値90、最低値60、貧血状態、脱水症状ともに著しく、不整脈もあり、検査のため入院されることになりました。 「Wさん」と名前をお呼びするとニッコリされて、「ここはどこかね」と言います。「病院ですよ」と教えますと、娘さんの方を見て、「知らなかったよ。学校かと思った」と言います。 「Wさんは明治39(1906)年生まれですか?」 とお聞きすると、 「いつだったかねえ……、いつだっけ」 とまた娘さんの方を見ました。 「明治39年生まれでしょ」 と娘さんが教えると、 「そうだよ。ところでここはどこかね」 と聞き返しました。 Wさんは10年前に夫を亡くしました。その後はずっと一人暮らしです。娘は3人で、上のお二人は遠くで暮らしています。それで同じ町にいる三女が時折顔を出しています。 Wさんは、1年前、風邪を引きました。なかなか治らず、それ以来ほとんど寝たきり状態が続いています。現在の認知症状態は非常に重く、今起こっていることもほとんど覚えることができません。 Wさんの老後は、毎日が同じような単調な生活の連続でした。ある一日を例にとってみましょう。 朝の掃除をしてから、仏壇を拝む。朝食を済ませて、庭の草取りをする。そして洗濯、布団干し。疲れるとテレビの前でお茶を飲む。それでほぼ午前中は終わり。簡単な昼食。身体も疲れやすくなっているので、老人会は行かないことにしています。行ってもあまり楽しくないのです。テレビを見て、お茶を飲みます。洗濯物を取り込むと、そろそろ夕食を考えなければなりません。おかずを買ってきて食事の支度をします。独りぼっちのわびしい夕食です。後片付けをして、テレビに向かい、お茶を飲みます。本来なら楽しかるべき団欒のひとときなのでしょうが、話し相手はいません。することもないし、つまらないから寝てしまいます。 |
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