グル−プ[8] 重度認知症状態(後期)


 この[8]段階では、他に対しての無関心さがそのまま自分自身に対しての無関心さとなってきています。したがって他人と自分の境界もなくなってきます。物品の名前や昔の出来事を忘れる、鏡に写った自分の顔を見て関心のない他人の顔と思っているなど、過去の基本的な経験により覚えたこととの別れの時期です。私たちが『からだ』で覚えているような基本的なことまでも忘れていく、そんな認知症状態の時期が[8]の段階です。したがって、前述の7と同様に『間違いを訂正することの出来ない時期』と定義することができます。

 前の段階の[7]とここでの[8]を比べてみると、

[7]……新しく覚えることの能力の低下だけではなく、過去の経験を覚え続けている能力も低下しています。行動は目的を果たすことができません。

[8]……今までに覚えたことが頭の中からなくなってきています。自分の国の言葉を忘れます。自分自身さえも忘れます。全てのことに別れるときです。

の違いとなります。

 したがって、私達は言葉を選んで、お年寄りの相手をさせていただかなくてはならないでしょう。第1・第2・第3人称にさえ戸惑っていられるかも知れません。注意を払って、意思の疎通をはかる必要があります。私達の言っていることがわからなくても、お年寄りはニコニコしたり相槌を打ったりしていらっしゃることが多いからです。耳が遠ければなおさらです。

 例えば、「来週来る時にはおいしいメロンを持って来ますからね」と私たちがいったとしましょう。お年寄りはニコニコしながら「よろしく……」と挨拶を交わされます。しかし、私たちの言葉は「……来る。……来ますからね」としか理解されていないことが多いのです。そして数分後には全てを忘れてしまわれます。話しをしたという事実もなくなります。お年寄りに残るのは一緒に居た間の「心地良かった」という気分だけのようです。

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