グル−プ[10] 最重度認知症程度(後期)


 お年寄りの物忘れと私たちの自分勝手さ、咲く花と飛ぶ鳥、山や川と海や雲、全てをまとめて、遠くから、宇宙から眺めた地球は美しい星です。そして時を越えても……、いつの時代であっても、地球は美しい星であり続けることでしょう。この時代の人は去ります。この時代の人を覚えている人も去ります。この時代の人々が存在したという記憶が、人々の心の中に入り込むこともなくなります。それはちょうど1,000年前の祖先の喜びや悲しみを私達が思い浮かべないのと同じです。推測による存在という、稀薄なものになってしまいます。

 全ての人達は、その存在と願いを失います。残るのは、ただ『親と子』という、この地球以上に美しい、ほんの一瞬の絆の繰り返しだけです。しかしこの親と子の絆こそが、遠く過ぎ去った過去の人達の存在と願いの記憶であり、地球を美しいと感じることのできる私たちの全ての知恵の根源なのです。

 美しいものは美しくなければなりません。出来ることなら更に美しくなってほしいものです。大勢の人達のこの願いが集まれば、私たちの願いは一つにまとまり、それだけで『祈り』へと昇華します。お年寄りをこの『祈り』の中心に据えてあげれば良かったと、気付かせてくれるのがこの[10]の段階に至ったお年寄り(親)の姿です。

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