2008年1月号より〜年金の行方〜

介護支援専門員 楢木博之

 日本の高齢社会の到来は、年金や医療保険、介護保険などの社会保障制度に大きな影響を与えています。その中でも特に「年金」は、現在最も揺れ動いていると言えるでしょう。多くの国民が「年金」に対して不信感を抱いているのではないでしょうか。「年金をきちんと払っているから大丈夫」と思っている国民がどれだけいるのでしょうか。それ程、「年金への信頼度」を国民は低く実感していると思います。今回は、この「年金」が今後どのようになって行くのか、その行方を考えていきたいと思います。
 年金は1963(昭和38)年に国民皆年金制度となりました。そのため国民は年金を払わなければならない義務があります。しかし、皆さんもご存知のように、年金への不信感や低収入の影響から、ここ数年、年金を納めていない人が増えています。国民年金では、実に3割の方が未納になっているのです。学生など手続きをきちんとして納付猶予が与えられている人も未納と含めると、その数は国民年金加入者の実に5割近くになります。この状況で国民皆年金制度と言えるでしょうか。この状況から考えれば、国民年金は既に崩壊していると言っても過言ではないのかもしれません。「国会議員の未納問題」、「消えた年金」「宙に浮いた年金」そして「保険料の横領」など、年金のゴタゴタが続き、国民の年金への不信感が増していく中でこのような事態になってしまったのです。ではこの年金をどうすればいいのでしょうか。
 当然ながら、今のままでいいとは言えません。年金のシステムを考え直す必要があります。それも「待ったなし」の状況なのです。一つの方法として挙げられているのが、年金の財源を税方式にしていくという方法です。そして、消費税を年金の財源にするのです。この方式のメリットは未納者がいなくなり、財源を確保しやすいことです。そのため年金の最低ラインは確保できる可能性が高くあります。また厚生年金においては企業と従業者の労使折半がなくなるので、企業側の負担はなくなります。
 一方デメリットとして、現在の消費税率5%よりも高くなる可能性があります。高齢者が増えていけば、財源確保のため消費税が10%、15%と上がっていくことも予測されます。その際に経済への影響が出るのではないか、などの不安もあります。そして大きな課題として、今まで年金を支払ってきた人と払ってこなかった人の区別をどうしていくか、ということがあります。税方式になれば、その後の差はなくなりますが、これまで払ってきた人には不公平感が残ることは否めません。そこの区別をどのようにつけていくか、という課題があるのです。
 年金の税方式は、まだ決定したわけではなく一つの案にしか過ぎません。これからの議論が必要になります。しかし最初に述べたように、国民年金の未納は深刻な状況です。そのため年金の議論は「待ったなし」です。今行われている国会では、消費税引き上げの議論が見送られることになりました。次回の選挙まで、消費税増の議論は封印しようという動きを感じます。しかし、それで本当にいいのか。目先の選挙だけに捉われて、今後、より一層進んでいく高齢化を乗り越えていけるのか。心配の種はつきません。
 年金は私たち国民全員の問題です。「国会議員にお任せ」ではなく、国民も含めた議論が出来るよう、私たちも関心を寄せていく必要があるのではないでしょうか。
 安倍首相の突然の辞任から、福田内閣が発足しました。政界の動きが毎日のように新聞紙上を賑わしています。私も政界の激動にただ驚くばかりでした。皆様もこの動きに興味・関心を持たれた方が多かったのではないでしょうか?