2006年10月号より〜医療制度改革説明会の内容〜
医療ソーシャルワーカー 楢木博之
 7月30日(日)、夏祭りの前に医療制度改革説明会を行いました。当日は80名近くの参加がありましたが、都合が悪く出席できなかった方もいたのではないかと思います。今回は、その日に話をした内容の一部をご紹介します。
 医療制度改革関連法案は、平成18年6月14日に成立しました。今回の改正の焦点は、「国民皆保険制度の堅持」にあります。日本は昭和36年に国民皆保険制度がスタートし、保険証1枚あれば「誰でも、どこでも同じ医療が受けられる」という優れた制度になります。しかし現在の日本は、高齢化率21%を超える「超高齢社会」に突入しました。高齢者の人口が増えれば医療費も増えていき、現状の体制のままでは国民皆保険制度の危機的状況にも陥りかねないとも言われています。端的に言えば、今後医療費はどんどん増えていき、医療保険財政がパンクしてしまう危機性が出てきたのです。ですから必要なところに医療費を適正に使うようにし、医療費の増加を抑えていくために、制度の見直しが必要になったです。
 では、具体的な中身はどのようなものなのでしょうか。今回の制度改正の内容を一言で言えば、「高齢者の負担増」になります。負担増の細かい内容を見ていくと、
・現役並みの所得を有する高齢者の患者負担が2割から3割に増加(平成18年10月〜)
・療養病床に入院する高齢者の食費・居住費の自己負担化(平成18年10月〜)
・70歳〜74歳の高齢者の患者負担が1割から2割に増加(平成20年4月〜)
 このように、今後は保険給付が少なくなり、患者が支払う金額が増えていくことになるのです。では「何故、高齢者ばかり」なのでしょうか。その背景には、現役世代の患者負担3割をこれ以上、上げることはできないという考えがあるからです。保険を使っても4割、5割と自己負担するのでは、そもそも保険意義が薄らいでしまいます。ですから国としても現役世代の3割負担を堅持し、他の対応で医療費を抑えるためには高齢者の負担を増やしていくという方法をとったのです。もちろん全ての高齢者が一律に負担増になるわけではなく、所得に応じて対応していくことになります。
 では、今年の10月から行われる「療養病床に入院する高齢者の食費・居住費の自己負担化」について、もう少し説明を加えたいと思います。これは昨年の10月に行われた介護保険施設の食費・居住費自己負担と同じ考えです。それまでは食費・居住費(高熱水費)に保険給付されていましたが、今回からはそれらが自己負担になるのです。これは在宅で生活している人は、食費も高熱水費も全て自分で負担しているのに不公平ではないか、という考え方です。介護保険では昨年の10月に行われたですが、医療保険の方はそのままでした。ですから同じ病院内で食事を食べていても、医療保険病棟と介護保険病棟とでは、食事代が違うという現象が起きてしまったのです。それでは不公平だという議論から、今年の10月に医療保険の方でも足並みを揃えて、食費・居住費の自己負担化になったのです。これは全ての病院ではなく、療養病院に限られてます。また療養病院に入院している全ての人が対象ではなく、医療度の高い人は従来どおりの保険給付が残されました。ですから患者さんによって、同じ食事を食べているけれど料金は違うという現象も起こりうることになったのです。もちろん食費においても、介護保険と同様に所得に応じての負担軽減があります。
 今回の医療制度改正はかなり複雑で分かりにくいですので、今回の説明ではご理解いただけない方も多いと思います。当院でも、全体説明会を開催したり、個々での相談に応じたりして対応していきますので不明な点などありましたら、お気軽に声をかけて頂ければと思います。