| ケースワーカー 桃原俊寛 | |
| 季節は夏から秋へと移り変わり、空の雲が高くなり、ところどころで秋の風情を感じられるようになりました。御殿場高原病院では、10月から散策の会が1ヶ月の期間をおいて行われています。最初の日は、病院から歩いて数分の浅見神社まで行き、その帰り道に田畑の畦道を歩くというコースでした。 その日は日差しが照っていることもあり、患者さんに帽子を被ってもらいました。職員が「素敵な帽子ですね。とてもよく似合っていますよ」と話すと、「あら、ありがとう。私だから似合っているのよ」と笑顔になられています。普段より表情が穏やかな患者さんが多いのは、これから外へ行くという楽しみで、陽気になられているためでしょうか。 病院を出て少し歩くと、近隣の家が栽培している野菜畑が見えてきます。それを見た患者さんの一人が、「あら大きなカボチャね」「このナスはつやつやして美味しそうね」等と言うと、一緒に歩いていたもう一人の患者さんが、「こっちの野菜も美味しそうだな」と話してくださいます。2人の間では、「この野菜は栄養が高いのよ」「あの野菜は苦味が多くて」としばらく野菜の話しでもちきりです。 暖かい陽気の中、浅見神社ではたくさんの木が生い茂り、少しひんやりした気持ちいい風が吹いています。足元の砂利の敷地にドングリが落ちていました。2、3個を拾って患者さんに渡すと、手のひらでその感触を楽しんでいるのでしょうか。手先でコロコロ転がしたり、ギュッと握ったりとされていました。 また他の患者さんに声をかけると、周囲を見渡しながら「良いわね」と一言、その目線はどこか遠くを見ているようでした。遠い昔、ご兄弟、友達と神社の境内で遊んだ日のこと等を思い出されているのでしょうか。 帰りは稲刈りの終わった田畑の畦道まで足を運びました。歩くたびに足もとの草の香りが漂ってきます。アスファルトなどの硬い地面とは違う感触に、患者さんの歩みも軽やかです。「もう稲刈りも終わっているのね」と刈り取られた畑を見て、感慨深げな患者さんがいれば、「お米が美味しく食べられるのよね」と、ひとつの光景を見ての思いは、患者さんそれぞれに違います。 最後に富士山が雲から出ているときを見計らって写真撮影。「はい、チーズ」、皆さんすてきな笑顔でした。 |
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