ケアマネージャー 楢木博之
 今年4月、『車椅子・ベッドの介護保険「要支援」は対象外』という報道がありました。「厚生労働省は、要介護度がもっとも低い要支援の人が車椅子や介護用ベッドを借りる場合、原則として介護保険適用の対象外とする方針を決めた。急増する福祉用具の給付費を抑え、自然に体を動かす機会を増やすことで要介護度が上がるのを防ぐ効果も期待できるとしている」

 この記事、裏を返せば現状では正しく福祉用具が使われていないと言っています。まだ動けるのにむやみにベッドや車椅子を貸し出している、その為介護保険財政が圧迫されてきているということでしょう。

 現在は要支援・要介護を受けた場合、1割の自己負担で福祉用具を貸与することができ、特に使える福祉用具の制限はありません。在宅サービスを受けている高齢者の3人に1人が利用していると言われています。厚生労働省は必要のない人に福祉用具が貸し出されているということを重く見ているようです。もちろん、この動きには反対意見もあります。私自身も含めて現場のケアマネージャーは、実際に利用者の様子を把握しており、要支援の人でもベッドが必要という事例はあるのです。例えば起立性低血圧の方が立ち上がるときに目まいを起こしてしまう危険性がある場合や、在宅酸素を使っている方など、普段は身体が動くがリスクも含んでいるため、安全性を考慮してベッドを借りているという人もいます。その方が要支援でベッドを借りれないと判定された場合、ベッドを使わずに寝起きするのは大変です。ですから一律に要支援だから駄目、と制限を加えるのではなく、個人個人の状況を正しく捉えて、本当にベッドが必要か、車椅子が必要かを判断していくべきとは思います。

 何故このような動きが出てきたかといえば、やはり介護保険財政の圧迫が影響していると思われます。来年度の介護保険の改正では保険徴収の年齢を引き下げるという話もあります。若い世代からも保険徴収して、財政を確保したいという思惑なのでしょう。これらの対策の他にも、予防給付がうまく機能していない点や、在宅を目的とした介護保険なのに施設入所への希望が多い点など、介護保険も多くの課題を抱えています。

 2005年には介護保険制度の改正が行われます。その時にどのような動きになっているのか、今後の動向に目が離せません。