| 総師長 佐野清子 | |
| 時の過ぎゆくのは早いもので、昭和五十四年認知症老人専門病院の草分けとして開院し、二十五周年を迎えました。いつしか四半世紀の歴史を刻んできたわけですが、過ぎてみれば束の間の歳月のような気がします。 開院当初は、認知症症という病名も看護婦の間ですら認知している人は限られていたように思われます。その看護・介護もマニュアルなどはなく、すべて手探り状態で対応していたのですから、職員の苦労は大変だったと思います。 この稿を書くに当たって本院の歴史を知りたく、院内紙『やまびこ』のバックナンバーを読み返していたら、平成七年発行のNo.44掲載の「助言・苦言・ほめ言葉集」が目を留まりました。患者様の声やご家族のアンケートからの抜き書き特集です。そこに記されている一言一言は、私たちが今現在言われていることのように生々しく感じます。 「心の看護、よりよい介護を目指す立場から、これからの業務に生かせるものは生かして行くことが必要」だったはずなのに、どこに、どのように生かされて来たのか、現状を見るに付け非常に寂しく思うと同時に、様々な困難があったということなのだと思いました。 平成元年ゴールドプラン導入、平成六年見直し、そして平成十二年介護保険制度導入という変遷の中で、医療はサービスと定義され、面倒を看てあげている・・・という間違った考えは通用しなくなり、看させていただく看護・介護から、ADLの向上だけでなく、療養者個々の生活の質を高めるという面を重視するようになりました。 それまでの医療は、医師を中心に構築されていた面が多かったのですが、チームでの医療・看護介護・リハビリであることが、療養病棟の今であるようになりました。 そのような時代の要請の中で、我々はどのように意識改革をして来たか、利用者の満足度を満たすことに、どのような努力をしてきたのだろうか。 療養型医療施設研修会や、種々の研究会の出席させていただいて思うことは、看護師だけでなく介護職やリハビリ、ワーカー職の方たちの発表が多くなっていることです。各職の人たちが確実に力をつけ、日常生活援助の全ての面で研究、改善に真摯に取り組んでいる今、我々に課せられていることは、病院の理念・方針の具体化に向けて誠実に取り組まなければならないということでもあり、誠実とは言うこととすることが一致していることだと思うのです。 医師を始め、院内の他職種の参画のもとにケアプランが作成される−−その型は整ってきました。後は我々が決められたことを責任を持って誠実に実践するか否かです。 ケアは、ケアする人の能力に左右される部分の大きい領域です。院長先生の勉強会の機会を多く持ち、認知症症に対する知識と理解、ケアの実践に必要な技術を磨き、専門職として「井の中の蛙」でなく、外に向けて堂々と語れるよう、職員一同研鑽に励み、選ばれる病院、「入院してよかった」と信頼されるような病院を目指して、一層努力して参りたいと思います。 |
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