| 介護福祉士 岩永光義 | |
| リビングルームで車椅子に乗ったまま、じいっと一色太鼓の様子を観ておられたAさんに 「すばらしいバチ裁きでしょう、このような太鼓の音聴いたことがありますか」 と尋ねてみましたら大きくうなずいて下さいました。これは7月27日に行われた夏祭りの会場でのAさんとの会話です。運動失語のAさんは、日頃言葉がしゃべれないため、返事は頭で合図をして下さいます。 そのうち外のサンデッキでは盆踊りが始まりますと、その様子も観ておられました。 「傍に行ってみましょうか」 とお誘いすると軽くうなずかれましたので中に入って一緒に楽しんで頂きたいと思い、踊りの輪の中にお誘いすると、外の方を向いて、 「あーっ、あーっ」 と訴えられました。 「観るのは好きだけど踊るのは嫌いですか」 と尋ねますと、この時はことの他大きくうなずかれました。 盆踊りが始まって暫くした頃、リビングルームへ患者さんの様子を見に行きました。すると両下肢に障害があり、いつも車椅子を利用されていて、日頃から歌と踊りが好きなBさんは踊りの様子を車椅子のアームレストを叩き調子を取りながら観ておられました。 「一緒に踊りましょうか」 とお誘いすると、 「そうね、連れて行ってくれる?」 と行って、素直に応じて下さいました。踊りの輪の中に入りますと、両手を右に左に上へ横へとやりながら、一生懸命見様見真似で踊って下さいました。祭りが終わって談話室でテレビを観ておられましたので、 「今日の盆踊りはいかがでしたか」 と感想を聞きますと、 「すごく楽しかった、昔よく踊っていましたからね」 と懐かしそうに言われたのが印象的でした。 夏祭りに参加して患者さんと一緒になって楽しんでいるうち、最近よくノーマライゼーションという言葉を耳にしますけれど、今日のこの夏祭りの内容こそがノーマライゼーションの思想に基づいた行事そのものではないかと思いました。と言うのも、老いも若きも、身体に障害のある人もそうでない人も、皆一緒になって行事に参加して、一緒になって楽しむ、このような行事こそがこれからの社会とりわけ、21世紀の社会においては大切なことではないかと思うと同時に、今後このような考え方をもっと大事にしていかなければいけないとつくづく感じたひと時でした。 |
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