| 介護福祉士 岩永光義 | |
| 病棟の看護・介護目標に「優しさをモットーにして患者さんに接する」という項目がありました。然らば「優しさ」とはどういうことなのでしょうか。私は日頃次のように考えております。 例えば、お部屋が冷えているから暖房を入れるとか、車椅子でホールに出るときに靴下や靴を履かせたり、車椅子のシートに座布団を敷くなど、患者さんに思いやりの気持ちをもって接することだと思います。 その他、笑顔と優しい言葉遣いで患者さんが安心されるような態度で接するとか、常に患者さんに快い思いをさせてあげることだと思います。 因みに、宗教用語に布施という言葉があります。これはお寺にお金や物をあげたりするときに使われます。 もともとこの言葉は、他の人に何かを施すという意味に使われる言葉で、お寺にお金や物をあげるときだけに使われる言葉ではないと思います。 私は優しい気持ちを考えるとき、布施の精神を持つことが重要じゃないかと思っています。患者さんに靴下を履かせたり、靴を履かせたり、座布団を敷いてあげるなど、物質的な面を以て物施(または賦施)と言い、優しい言葉を遣い、笑顔で患者さんが安心されるような接し方をする心を心施と言い、笑顔を見せることを和顔施と言います。 例えば日頃情動失禁が激しい患者さんでも、優しい声で呼ぶと、まるで人が変わったような顔つきで「ハイッ」と返事をして下さいます。「食事ができましたよ」と声かけすると、「どうもありがとう」とお礼の言葉が返ってきます。またいつもベッドに寝たきりで発語もほとんどない患者さんでも、私から笑顔で声かけすると、こちらのほうをじっと見て、ニッコリ笑みを浮かべて下さる患者さんもおられます。 人間の機能で、最後まで維持されるのは聴力だと言われております。先日亡くなられたOさんも、息を引き取る数時間前まで、こちらからの声かけにはっきり答えて下さいました。 重症の患者さんだからと言って何も分からないだろうと思うのは、患者さんに対する理解が不十分だと思っております。少なくとも声かけだけはしてあげたいと心掛けております。 患者さんに楽しい思いをしていただき、毎日安心して過ごしていただくためには、物施の心、心施の心、和顔施の心の三施の心を持って患者さんに接することが、真の優しさではないかと思っております。 |
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