心理課 坂井里江
 梅雨の最中のある土曜日、今日はAさんご家族との小旅行におでかけになる日です。時刻は11時50分、元気にラジオ体操に参加されていたAさんを2人の娘さんが訪ねて来られました。お宅からご持参頂いた私服に着替え、ピカピカの靴にジャケットで決めたAさんはいつにもましてダンディーです。

 出発予定時刻は12時30分。まずは昼食をと、「何が食べたい?」と訪ねた私たちに、「カツ丼!」と即答されたAさん。「普段は我慢してるしねぇ。めったにないことだし、父の日だから特別ね」という娘さんのお許しをいただき、まずはとんかつ屋さんへといざ出発です。重く垂れこめていた雲間にも晴れ間が射し始め、「さすがお父ちゃんパワーだねぇ」と車中は盛り上がります。

 揚げ物と魚介類が大好物のAさん、お店では結局『トンカツと海老フライの盛り合わせ定食』を注文されたのですが、運ばれてきたそのお膳のボリュームに一同びっくり!同じものを注文した私たちが「こんなに食べられない・・・」と音を上げるのをよそに、Aさんは「このくらいなんてことねぇよ。美味い、美味い」と、どんどん平らげていかれます。娘さんと海老フライに囲まれ、いたく御満悦の様子でした。

 13時45分。食べる物を食べ、「あとはどうだっていいよ。」とおっしゃるAさんには、娘さん御所望の富士霊園にお付き合いいただくことにし、また車に乗って出発です。とは言うものの、病院のお花見などで度々ここを訪れているAさん、車から降りると「ここは良く知っているんだ」と、なれた足取りで先に立って案内して下さいます。残念ながらツツジの盛りにはまだ早過ぎたようですが、早咲きの一群を見つけ、その中でしばらくのんびりと過ごしました。

 14時40分。予定時刻を少々オーバーして病院へ帰還。そして、これから車で帰られる娘さんたちを見送ります。「運転、気をつけて帰れよ」と手を振るAさんの横顔は、やはり頼もしいお父さんのものでした。

 普段から男っぽく世話好きのAさんですが、今回の家族小旅行では、新たに父親としての優しい一面にも触れさせていただくことができ、私はまたAさんのことが好きになりました。