生活指導員 上田悦子
「バスはいつ出るの?私は何も出来ないわよ」
「あのね、私たちは、赤組なの。だから、赤い玉を籠に入れるの。頑張ろうね」

 今日は運動会です。残念ながら天候に恵まれず室内のそれとなってしまいましたが、先程始まった会は前座の面白さも加わり、大盛況です。一病棟が赤組、二病棟が白組に分かれ、競い合います。職員と患者さんが一体となった力強い応援合戦、いよいよ会は盛り上がります。それでもY子さんは、
「バスは?私の乗るバスは?」
会場の雰囲気に呑まれながら、
「私は何も出来ないわよ。どうしたらいいの?何したらいいの?」
「あのね、次は玉入れだから、赤い玉を籠に入れてね」
と、手をとって籠のそばに導きます。5つ玉をもらいました。私は玉を彼女に渡します。
「どうすればいいの?」
ひとつずつ私はY子さんに玉を渡します。その時からバスの姿は少しづつ遠のきます。Y子さんは、確実に玉を籠の中に入れます。1つ、2つ、そして5つ。とても緊張した面持ちです。全ての玉が彼女の手から消えると、安堵と満足感を浮かべた笑みが、私たち二人にこぼれます。今、バスはどこを走っているのでしょう。Y子さんは今、とても輝いています。

 私たち職員は、個別に患者さんのケアを担当しています。私は4名の方々です。日頃のお世話をさせて頂きながら、私自身が微笑みをもらうことが多々あります。

 私の大切なY子さん。今日も感謝感謝。