| 看護婦 松井純子 | |
| 消灯を過ぎた10時頃、2病棟には夜勤看護婦の他にもう1人の看護婦が入院患者さんの面倒を見てくだささっています。もちろん幽霊なんかではありません。とある病室で寝苦しい夜、布団を外して就寝されているGさんの掛布団を声掛けされながら、掛け直しされているOさんがその人です。残念ながら、同室の方にとってはあまり好ましい行動ではないらしく、何度か苦情が出る時があります。 Oさんは大分県の長寿一家の次女として生を受け、看護婦、助産婦の仕事をされており、私達にとっては大先輩にあたります。ただ、残念な事に嫁いだ先の家庭事情により、個の仕事を断念しなければなりませんでした。そして、数十年の歳月が流れ、ご主人に先立たれ家業を手伝う必要もなくなった今、Oさんは昔の仕事に戻れる年齢ではなく、介護される側となっていました。今、病院という昔の職場に戻ってきたOさんにとって入院生活は若い頃続けたくても出来なかったご自身の転職を全うしようとされている姿、職業せん妄となって現れているのでしょう。 私達が「看護婦という職務で1番大切な事は何でしょうか?」と問いかけるとOさんは毎日笑顔で気持ち良く答えて下さいます。「誠実と親切である事、責任感がなければいけないねぇ」と必ず断言したような口調で・・・。 今、彼女の後輩である私達は、幸いな事に看護婦という仕事を続けられています。Oさんの素敵な笑顔を見ていると、もし私がOさんと同年齢になった時、やり残した事のないように、今の仕事を精一杯やっていきたいと思う今日この頃です。 |
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