事務 田代智美
 夏祭りの作品として私たちは、草木染めを行いました。患者さんと一緒に何かを作り、その中で何かを感じていただければと思いすすめていきました。

 今回は、ブルーベリーとサフラン(お米などを黄色く炊き上げる食材)を使い、真っ白なTシャツやカーディガンを紫色と黄色に染めることにしました。大きな鍋でブルーベリーを煮立て染め液を作りました。簡単に言えばブルーベリージュースです。

 その染め液の中にTシャツなどを入れて煮立てます。ムラにならないように丁寧にかき混ぜていなくてはなりません。患者さんが飽きてしまわないかと心配しました。しかし、実際は一度箸を渡しお願いすると、「ムラになったら大変だからね」「平気平気、大丈夫よ」と熱心にかき混ぜて下さいました。その姿はお料理をしているかのようで、「素麺をゆでているみたいね」「そうね、夏といえば素麺ね」「お料理は得意ですか?」「得意じゃないけど好きよ。あなたが家にきたらご馳走してあげるわ」とニッコリ笑顔で返事が返ってきました。また「他に夏と言えばなにがありますか?」「かき氷にスイカ・・・」と会話が弾み、時間が経つのが早く感じられました。

 次にミョウバン(漬物の色止めにも使う食材)を溶かした液の中に入れると、パーッと色が鮮やかになりました。「きれいね」「これ私が着ていいの」「きれいね」「いい色ね」と、口々におっしゃっていました。その時ふと、カーディガンを紫色に染めていたAさんが、「私、昔母に教えられて染めたことがあるの。母は染め物を習っていたから上手でね。長襦袢紫色に染めたの・・・」と懐かしそうに優しく話して下さいました。

 その後の流水で洗い流す作業は、皆さんお手のものといった感じで、「昔は洗濯機なんてなかったからみんな手洗いでしょ・・・」「水が冷たくて気持いいわよ」と慣れた手つきで洗って下さいました。職員が何も言わなくても、「これはもう洗って片づけなくっちゃ・・・」とどんどん洗い物をして下さったり、流し台の回りをきれいに拭いて下さったりと、昔を思い出しあたりまえのようにからだが動いていらっしゃるようでした。

 そして最後に染め上がった服を干しました。細かなシワまで伸ばして下さいました。「出来上がりが楽しみですね」「ほんとうね、うまくできてるといいけど」と笑顔でちょっぴり不安の混じった答えが返ってきました。

 昔を思い出しながら「きれいね」「冷たいね」など沢山の感情を示していただくなかで作品を完成することができ、私自身もとても素敵な時間を過ごすことができました。後日、出来上がった服を着て写真を撮った皆さんの表情がとてもステキでした。