| 生活指導員 楢木博之 | |
| ある女性患者さんとの会話の中で、ご家族の名前を確認している時のことです。 「旦那さんは?」 と尋ねると 「旦那さんはいません。お父さんはいます」 という返事でした。さらにお父さんの名前を尋ねると、はっきりした答えが返ってきますが、 「夫」の名前は全く出てきませんでした。他の患者さんにも同じ質問をしてみると、やはり「夫」ではなく「お父さん」の方をはっきりと覚えていました。そして「夫」「お父さん」よりも、子供の名前は、はっきりと出てくる患者さんもおりました。 家族の中で「夫」というものはどんな存在なのでしょうか。生活歴の中で、夫と過ごす時間が一番長いのではないかと思います。 それでも、「夫」より「お父さん」「子供」なのです。結婚して数年もたっていない私にとって、少しがっかりする結果です。その患者さんにとっては、「夫」より「お父さん」の方が優しく、一緒にいて楽しいことがあったのでしょう。「お父さん」の話題ではとても楽しそうに話をされます。長い年月一緒にいたのではなく、どう過ごしたかが影響しているようです。一方で「夫」と過ごす時間をとても楽しみにしている患者さんもいます。先日、ご夫婦で旅行に行かれた患者さんは、出発前からニコニコして 「今日はデートなの」 と嬉しそうに話しておられました。その患者さんは「お父さん」より「旦那さん」だったのです。「旦那さん」のお話をすると安心した表情になることが多いのです。その方にとって「旦那さん」は何時までも優しい存在のようです。 両極端の例でしたが、共通していることは、患者さんにとってより優しかった方のことを話す時のほうが、生き生きとした表情をされていました。その意味するところは、「お父さん」「旦那さん」より「優しい人」ということのようです。 |
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